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研究紹介



フォトニクス研究室では,大きく分けて以下の5つの研究テーマに取り組んでいます。

シミュレーションの様子 実験系 異物検査
1) 近接場光や表面プラズモンを用いた
デバイスの開発
2) 生体・環境計測を対象とした
光センシング技術の開発
3) 光を用いた食品異物検出技術の開発

SiナノロッドのSEM像
4) 高分子ナノファイバーを用いた
新規有機デバイスの開発
5) 半導体ナノ構造を利用した発光材料の開発

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1) 近接場光や表面プラズモンを用いたデバイスの開発

情報化社会の進展に伴い、より高速で大容量な情報処理デバイスが要求されています。この要求に対し、光素子と電子素子を集積化させた光・電子集積回路が期待されています。

しかしながら、光素子のサイズは電子素子のサイズに対して非常に大きいため、同一基板上への高密度な集積化が困難となっています。

そこで、本研究では、表面プラズモンや近接場光を用いたデバイスの開発を行っています。表面プラズモンや近接場光を用いることで、素子の小型化や高性能化が期待できます。

下図は、光・電子集積回路の概念図です。外部からの光信号を高速に処理したり、回路内での信号のやり取りを光(表面プラズモンや近接場光を含む)で行なうデバイスです。

光・電子集積回路

このようなデバイスの実現には、様々な要素素子が必要であり、これまでに、近接場光発生素子、表面プラズモン検出器・導波路、光共振器などに関して研究を行なってきました。

現在取り組んでいる研究テーマを以下に示します。


○ナノスケールのコヒーレント光通信技術の開発

強度信号だけではなく周波数や位相信号(コヒーレント光信号)を利用することで、一波長あたりの通信容量を増加させることができます。

本研究では、表面プラズモンを用いたナノスケールのコヒーレント通信技術の開発を行なっています。

表面プラズモンとして伝搬する過程でコヒーレンス性がどの様に変化するかを調べるため、下図のような素子を作製しました。

素子構造

この素子を用いて、表面プラズモンとして伝搬した後の光のスペクトルを遅延自己ヘテロダイン法によって評価した結果、表面プラズモンの伝搬において、強度が減衰するだけで、コヒーレンス性が保たれることが明らかになりました。

コヒーレンス性

この結果は、ナノスケールでのコヒーレント光通信の可能性を示しています。


○WGMを介した光周波数信号の伝達 

誘電体微小球内部に光を入射すると、Whispering gallery mode(WGM)と呼ばれる光閉じ込めモードが発生します。

本研究では、このWGMと光ヘテロダイン干渉を組み合わせ、マイクロスケールの光変調器の実現可能性を検証します。

シリカ微小球へWGMが励起されたことを、電磁界解析及び光ファイバを用いた実験から確認しました。


                          Whispering gallery mode(WGM)   実験の様子  比較


周波数シフタを用い、2波長の光の差周波数を100MHzとして、それぞれの光を微小球へ入射しました。

WGM共振波長付近の光を入射した場合、WGMを介した光周波数信号(100MHz)の伝達が確認されました。


実験系  測定結果  光周波数信号の伝達


今後は、WGMを利用したナノマイクロスケールの光変調器開発への展開を考えています。


○表面プラズモンを利用した光検出器の開発

金属と半導体を接触させることにより、ショットキー障壁が形成され、表面プラズモンを光電流として取り出すことが可能となります。

本研究では、このショットキー障壁を利用して、表面プラズモン検出器の開発を行なっています。

表面プラズモン検出器は下図のような構造になっています。表面プラズモンの励起機構にはグレーティングを利用しています。

実験系とマルチスリットグレーティング

表面プラズモンの励起を確認するため、光電流の偏光角依存性を測定しました。

シミュレーション結果測定結果

シミュレーション結果から、TM偏光(スリットの長軸に垂直な電界)では表面プラズモンが励起しやすいことがわかります。

実際の測定においてもTM偏光において光電流が増大し、作製した素子が表面プラズモンを検出していることを示しています。


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2) 生体・環境計測を対象とした光センシング技術の開発

物質による光の反射や吸収,及び蛍光等を用いて生体・環境計測を対象とした光センシング技術の研究開発を行っています。昨年度までに光の反射と吸収を用いて植物へのセンシングが可能なシステムの構築を行ってきました。(H22年参照)本年度はさらなる高感度化を目指し,蛍光を用いて植物中の微量成分分析を行っています。


○蛍光を用いた非接触でのビタミン類検出技術の開発

ビタミン類は蛍光を示すものが多いため、植物内部に含まれるビタミン類を、蛍光検出することを目的としています。

蛍光測定法を用いることにより,光吸収を用いた測定法よりも高感度で、励起/蛍光波長を選択すると特定の物質のみの測定を行うことが可能となります。

そこで,下図に示す蛍光スペクトル測定系を構築し,植物試料を破砕することなく測定を行うための方法について検討を行っています。

実験系 実験系

本システムを用いて測定した結果ビタミンB2水溶液の蛍光ピーク(530nm)とモロヘイヤからの蛍光ピークが一致しました。

また、従来の測定方法である液体クロマトグラフィー法により、ビタミンB2がモロヘイヤ中に含まれていることを確認しました。

測定結果


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3) 光を用いた食品異物検出技術の開発

現在、食品中の異物混入の問題は食品製造企業にとって大きな課題のひとつとなっています。

特に昆虫や毛髪等の生物由来の異物は全体の3割以上を占めており、これらの生物由来の異物は従来のX線検査装置や金属検知器では取り除くことはできません。

統計

そこで本研究室では、近赤外光を使用した生物由来の固形異物を検出する新たな技術を開発しています。

○近赤外光を用いた食品の異物検査

本研究では、空間分解能および高速性に優れたNIRイメージングを使用しており、光源には食品や生体を透過しやすい近赤外領域(~830 nm)の波長を用いて異物検出を行っています。

実験系

現在は食品中の毛髪(φ0.11 mm)や昆虫(幅2.5 mm)などの異物の検出に成功しています。

異物の検出

本研究の一部は「愛知県 知の拠点プロジェクト」の援助による。

また、本研究内容は、愛知県が主導的役割を果たして行う産・学・行政による共同研究である知の拠点プロジェクト
・視点U(社会ニーズ対応)
・No.5 食の安心・安全技術開発プロジェクト(次世代モニタリング技術を活用した安全・安心技術の開発)
の一環として採択されました。

この研究に関しては、日刊工業新聞-朝刊-(2013.3.13)および日本経済新聞-朝刊-(2013.3.13)にて報告されています。



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4) 高分子ナノファイバーを用いた新規有機デバイスの開発

ナノファイバーなどの一次元ナノ構造は、可視光の波長と同等もしくはそれ以下の直径を有することから、特異な光学特性を発現する可能性を秘めています。

本研究では、高分子からなるナノファイバーを用いて新規な有機デバイスの開発を進めています。

図(a)-(d)は有機発光分子を添加して作製した高分子ナノファイバーの顕微鏡像です。

ナノファイバーに緑色の励起光を照射することで、ファイバーから赤色の発光が得られることが分かります(図(b),(d))。

さらに、ファイバー端(B点)の発光強度は、ファイバー中央部(A点)の発光強度より強いことが分かります。

定量的に発光強度を比較するために、分光器を用いて発光スペクトル(波長に対する光強度)を測定しました(図(e))。

顕微鏡像および測定結果

この結果、ファイバー端での発光強度は中央部の約9.5倍の発光強度を示し、ナノファイバー内を光が導波することが明らかになりました。

こちらの研究は2012年度からの新規テーマとなっています。

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5) 半導体ナノ構造を利用した発光材料の開発

半導体ナノ構造はユニークな物性を示し、発光特性の向上も注目されています。これを利用して、光・電子融合デバイスへの応用や環境負荷低減に向けた新しい発光材料の研究開発を行っています。

下図はSi基板上に作製したSiとZnOのナノロッドです。ZnOナノロッドのPLスペクトルから紫外域での発光を確認しています。

SiナノロッドのSEM像  ZnOナノロッドのSEM像(左)とZnO成長の模式図(右)

こちらの研究は2012年度からの新規テーマとなっています。

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